最終更新 平成26年7月
自転車事故と刑事訴訟
自転車事故を起こすと、民事上の賠償とは別に刑事上の責任も問われます。
もっとも、起訴されるかどうかは、事故の悪質さ(ひき逃げ)や、被害者の状態(大怪我)などにより、検察が判断します。
軽いケガなど、過失が軽度な場合は、ほとんど不起訴になります。(起訴されれば、過失傷害の罪に問われます。)
しかし、相手を死傷させるなど、悪質な事故の場合は、重過失致死罪に問われる可能性があり、その場合は5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処されます。
懲役になるのか、禁錮になるのか、罰金になるのか、実刑になるのか、執行猶予が付くのかは、裁判官が決めます。懲役、禁固が実刑になった場合、長期間出勤できなくなるので、大抵、勤めている会社等はクビになるのではないでしょうか。
ところで、民事上の賠償で示談が成立していれば、刑事訴訟で被告(加害者)に有利な情状として扱われます。さらに、示談を成立させる過程で、相手方(被害者)から、「被告(加害者)を許す。被告に寛大な処置を求める」旨の嘆願書を取得できれば、相当有利に働き、実刑ではなく、執行猶予が付く可能性が高まります。(示談成立後の嘆願書の取得は難しいかも。要は示談を成立させる時に、賠償金を要求どおり払うから嘆願書を書いてくれと交渉するのです。)
このように民事上の賠償で、示談にできるかどうか、もとい嘆願書を取得できるかどうかは、刑事訴訟に影響があります。(特に執行猶予が付くかどうかは影響が大きい)
このことから、保険に入っていれば、民事上の賠償金を払える→示談が成立する。→嘆願書を取得できる。→刑事訴訟で執行猶予が付く可能性が高まる。となり、執行猶予が付けば、いままでの日常生活は守れるかもしれません。
一方、保険に入っていない場合は、民事上の賠償金を支払うことができず、結果、刑事訴訟で実刑をくらい、いままでの日常生活は崩れ去ります。(刑務所に行くことになります。)出所後は再就職から始めなければなりません。
最後に
今まで一貫して自転車側(加害者)の立場で考えてきましたが、最後は被害者の立場で自転車事故を考えます。
いくら、保険に入っていても、所詮、保険会社は「お金」を支払うだけです。死んだ人は生き返りませんし、生じた障害はずっと被害者を苦しめます。
想像してみてください。亡骸にしがみついて泣きじゃくる遺族を前に、保険がおりたからといって、何と声をかけられるでしょうか。
万が一に備えて保険には入るべきです。ですが、保険に入ったからといって、乱暴な運転は絶対に許されません。
安全運転で自転車ライフを楽しみましょう。
最後まで見て頂いて、ありがとうございました。